調査研究広報滞在費(旧文通費)の使途不明問題

政治・民主主義

緊急度:高★★★★
公金の透明性という民主主義の根幹に関わる問題であり、早急な対応が必要。

進捗度:70%
制度の一部改正に加えて与野党協議で更なる改善が検討されている。

かつて「文書通信交通滞在費(文通費)」と呼ばれていた国会議員の経費は、2022年の法改正により「調査研究広報滞在費(以下、調査広報費)」へと名称が変更されました。しかし、その実態は名称変更だけにとどまり、使途の透明性や公開義務の欠如という本質的な問題は解決されていないままである。


何が問題なのか?

1. 月額100万円の一律支給、非課税

  • 調査広報費は衆参両議院の国会議員に対し、毎月100万円が無条件に支給される。
  • 所得扱いにならず、非課税であるため、「実質的な第二の歳費(報酬)」と揶揄されることもある。

2. 使途報告の義務がない(現状)

  • 名目上は「調査研究・広報・滞在費」に充てられるが、領収書提出や報告書作成の義務がない
  • 国民やメディアがその使い道を確認する術がなく、ブラックボックス化している。

3. 一日でも満額支給の慣行(かつての問題)

  • かつては在任が1日でもあれば月額全額が支給される運用となっており、選挙後すぐに辞職した議員にも100万円が支給される事例が批判された。

法改正と現状の対応

2022年の法改正では、

  • 名称を「文通費」から「調査研究広報滞在費」へ変更
  • 日割り支給制度を導入(在職日数に応じて支給)

といった見直しが行われました。しかし、

  • 使途の公開義務や第三者監査の導入は見送られ
  • 政党ごとに自主的に報告書を公表する例はあるが、法的義務ではない

という状態が続いており、制度としての透明性は依然として不十分です。

加えて、2025年4月のNHK報道によると、与野党協議会においてさらなる見直しが検討されており、

  • 領収書の提出義務化
  • 議員個人単位での報告公開の義務化
  • 不適切支出への返還命令・減額処分といった罰則制度の整備 といった具体策が議題に上がっているとされています。

批判と影響

  • 国会議員の公的経費でありながら、チェック機能や罰則が存在しないことが、政治不信を招いています。
  • 「公金の私的流用ではないか」「第二の報酬制度ではないか」といった疑問が国民から強く出ており、制度見直しの声が高まり続けています。

海外との比較

アメリカ:連邦議会経費

  • アメリカの連邦議員には「代表者歳費勘定(MRA)」という経費制度があり、すべての支出について領収書の添付が義務
  • 年度末には公的ウェブサイトで詳細な支出報告書が公開され、国民がアクセス・確認できる仕組みが整備されている。

イギリス:議員経費スキャンダルと改革

  • 2009年に経費不正問題が発覚したことを契機に、**独立機関「IPSA(独立議会基準機構)」**が設置され、議員経費の監査と公開を徹底。
  • すべての経費はオンラインで毎月公開され、詳細な使途や目的が明記されている。

ドイツ:合理的支出+監査制度

  • ドイツの議員経費は「職務遂行に必要な支出」のみ支給され、明確なガイドラインが存在。
  • 経費に対する透明性の原則が明文化されており、各議会における監査委員会が定期的に調査。

これらの国々では、議員の経費について「使途公開の義務」や「外部機関による監査」が制度化されており、国民の信頼を得るための最低限のルールとして運用されています。

一方、日本ではいまだに議員の自主的判断に依存した公開レベルであり、制度としての信頼性には大きな差がある状態でした。


解決へのアプローチ

  • 使途報告の義務化:支出内容を領収書付きで報告し、国会または第三者機関でチェックする体制の導入が求められています。
  • 情報公開の標準化:各政党が任意で行うのではなく、議員個人単位での報告公開を義務づける必要があります。
  • 実効性のある罰則制度の整備:不適切な支出や虚偽報告が発覚した場合には、返還命令や減額処分を行える仕組みが必要です。

→  毎年12月末の時点でその年に使った総額や個別の支出項目、余った額を報告書にまとめ、翌年の5月末までに議長に提出。そして、11月末までにインターネットで公開され、3年間公開されるとしてる。また、使いみちの範囲は調査研究や広報など議員活動を行うために必要な費用のみとし、選挙運動に関わる費用としては認められないないとされている。

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